ロシア経済、5年ぶりに縮小

ロシア政府が29日発表したデータによると、11月のロシア国内総生産（GDP）は前年同月比0.5%減となり、ロシア経済が2009年以来初めて縮小した。同日、ロシア通貨ルーブルは7%安となり、これまで5営業日連続で上昇に転じた。

原油価格の下落、西側制裁、ルーブル危機の3つの衝撃の下で、ロシア経済は衰退の瀬戸際に陥っている。分析者は、どのように経済を苦境から脱出させるかがロシア政府の将来の一時期の核心的な重要な任務であると指摘した。

今年6月以来、世界の原油価格は約50%下落し、1バレル当たり60ドル未満の水準を維持している。西側の制裁はロシア経済をさらに悪化させ、1000億ドル以上の資金がロシアに流出した。

ロシアのウリュカエフ経済発展相はこのほど、原油価格が1バレル60ドル前後を維持し続け、西側がロシアへの制裁を継続すれば、ロシア経済は2015年に3%縮小し、2016年になって成長を回復することができると述べた。

このほか、一部の国際機関も来年のロシア経済成長の見通しを楽観視していない。国際格付け機関ムーディーズは、ロシア経済が2015年に5.5%、2016年には3%縮小を続けると予想している。JPモルガン・チェースは2015年にロシア経済が0.8%から3.3%縮小すると予想している。

　　ロシア.アリパリー分析センターのコルコレバ研究員は、ロシア経済が衰退に向かっている主な原因は企業の資金不足であり、投資と拡大再生産ができないことだと指摘した。2008年の国際金融危機勃発後も、ロシア政府は外国の金融機関から融資を受けて危機に対応することができたが、現在は制裁の影響を受けてロシアは西側の融資ルート阻まれ、ロシア企業の融資能力が制限され、生産を拡大する資金がなく、経済発展も動力を失った。

景気低迷の一方で、ロシアのインフレ圧力は上昇しており、ロシア政府は将来的にインフレ水準が10%を超えると予想している。ロシア企業連盟のヴォストリコフ会長は、新年以降、ロシア市場では明らかな物価上昇、特に基本消費財価格の上昇が見られると述べた。

物価上昇はロシア国民の生活負担を重くし、ロシア政府は2015年に住民給与と年金の引き上げを約束した。しかし、アナリストは、経済の下押し圧力がロシア政府に2015年の財政支出削減を迫ることになり、賃金と年金の引き上げ幅に影響を及ぼすのは当然だとみている。

また、西洋から金融機関融資ルートが制限され、ロシア企業が国内銀行などの金融機関に融資要求を出しているため、ロシア政府にとって金融安定は経済安定に直結している。

ロシア中央銀行は22日、トラスト国有銀行の財政整理を行い、ロシア銀行預金保険局を指定して同銀行の経営破綻を回避するための臨時信託を行うと発表した。また、ロシア銀行預金保険局は、ロシア中央銀行から300億ルーブル（約5億ドル）の融資を受け、トラス国有銀行が債務返済能力を持つことを保証する。ロシアがルーブル危機で救助した最初の銀行だ。

危機対応の最新の措置として、ロシアのプーチン大統領は29日、ロシア国民の預金保険賠償金を70万ルーブル（約1万2500ドル）から140万ルーブル（約2万5000ドル）に引き上げる法令に署名した。ロシアが預金保険の賠償金を引き上げるのは2008年以来初めて。

ロシアのメドベージェフ首相は同日、ロシア銀行のシステム資本の充実と預金者の利益保護のために、ロシア預金保険局に総額1兆ルーブル（約179億ドル）の政府借入債券を引き渡すことを承認した。

分析者は、ロシアが今回預金保険の賠償金を引き上げ、融資面で銀行に支援したのは、ロシアの金融システムの安定を維持するためであり、将来のロシア政府の経済安定を維持する上で重要なことになると指摘した。